一栄一辱

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2020年までに自動運転車は安全第一で本当に普及するのか?

一年ほど前に安倍総理が2020年の東京オリンピック開催時までに自動運転車を実用化させ、その上普及させるという方針を打ち出しましたよね。あの時は、それってほんとうに実現可能なのと?正直驚きました。現時点ではあと残り約4年です。普及ということは自動運転車がそこら中に走り回っているということでしょうが、私にはそれがどんな光景なのか全く想像がつきません。

目標を掲げること自体には反対しませんが、いまだ自動ブレーキ機能を搭載した車が認知され始めたくらいの国内状況です。先月でしたか、アメリカのテスラ・モータースが自動運転機能付きの電気自動車『モデルX』の日本国内販売を開始しましたが、ご存知の通り、本国アメリカでは『モデルS』での自動運転機能利用中に高速道路上で死亡事故があったばかりです。

搭載カメラやレーダーで周りの車や障害物を感知し、避けたり止まったりする技術が十分なものに達したから販売されているはずですが、この『モデルS』死亡事故に関するこの記事を読んでゾッとしました。

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テスラの自動運転を制御するプログラムは、理論的には起き得ないことが現実に起きると事故につながる可能性があるということのようです。制御できない想定外の領域がまだあると自分では解釈しています。テスラ側はこの機能は完全自動運転機能ではなく、あくまでも運転支援であり、ハンドルには両手をかけておく必要があると言ってるようですが、この車を買う人は自動運転中にスマホなんかを操作したくて正直買うんでしょうね。

まあ自動車を生産する側の技術は、間違いなく日進月歩で進むとは思います。問題はそれを走らせる社会側の対応です。完全自動運転車だけの専用道路ならまだしも、大混雑する既存の都心の道路はどういう対応を迫られるのでしょうか?レーン、交差点、標識、横断歩道など全部を自動運転のために変える必要が出てくるのでしょうか?もちろん法令や自動車運転免許制度なんかもです。

タクシー業界やバス業界なんかもビジネスモデル自体が変わるでしょう。この業界に雇用されている運転手さんたちは可哀想に必要なくなります。製造現場でのロボットによる自動化もそうなのですが、基本的には労働者から職を奪うことに違いはないはずです。1億総活躍社会とは矛盾しています。

東京都の豊洲新市場の問題のように一度掲げたスケジュールを優先するあまり、安全に対して見切り発車でことを急いでほしくはありません。東京オリンピック開催に自動運転車の普及が間に合わなくても、国民は嘆きはしないでしょう。その時は、オリンピック選手の移動用に専用レーンで自動運転車を走らせれば十分な気がします。